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2025/05/15
放課後等デイサービス事例インタビュー
千葉県千葉市で重心の児童発達支援・放課後等デイサービスを運営する株式会社優奏様にお話を伺いました。
児童発達支援・放課後等デイサービス『ふわっと』を立ち上げた経緯などを代表で看護師の椿様にお話を聞くことができました。
インタビュアー(以下:イ)簡単に自己紹介をお願いします。
椿様(以下:椿)株式会社優奏の代表の椿です。千葉市若葉区で重心(注1)の「児童発達支援・放課後等デイサービスふわっと」で管理者兼看護師をしています。
イ)開所のきっかけや経緯などを教えてください。
椿)以前に障害のあるお子さんに関わる仕事をしていたことがあり、ゆっくりじっくり丁寧に、そして10年後、20年後を見据えた成長を考えた発達支援の仕事がしたいと思っていました。
しかし、看護師の立場でそういう支援をできる施設が身近になかったので、自分で施設を立ち上げました。
イ)過去の経験も含めてご自身で施設を立ち上げられたわけですが、以前は、どのような施設で働かれていたのでしょうか?
椿)児童発達支援や障害児の入所支援施設で働いた経験があります。
イ)重心児を受け入れる施設としてスタートされたのは、看護師のご経験からでしょうか?
椿)児童発達支援で働いてた時のお子さんたちに、もう一度会いたいという想いがありました。
その時のお子さんたちが重心児だったということもありますし、医ケアのあるお子さんも多かったので、私の看護師の資格を活かすことができると考えたからです。
お子さんたちは、思いや考えていることが沢山あるんです。でも、うまくお話しすることができない子もいるので、ご家族や学校の先生、周りの職員にも話を聞いて、その子がどんな生活や体験をしているのか背景を想像しながら、「どうだったの?」と語りかけます。
気持ちに寄り添うことができたら、ニコッと笑顔で返してくれますが、違うときは、シーンとして違うことを伝えてくれます。ピタッとその子の気持ちにハマるようなやり取りができるとすごく嬉しいです。
イ)意思疎通にしても時間をかけて向き合って行くのですね。
(注1) 重心型の放課後等デイサービスとは、主として重症心身障害児を受け入れる放課後等デイサービス。基本的には重症心身障害児に支援を行うので、看護職員の配置が必要。利用する児童を(1)重心医ケア児、(2)重症心身障害児、(3)医療的ケア児、(4)医ケア以外(重心以外)の種別で基本報酬が異なります。
イ)開所の準備で大変だった事はどんなことでしたか?
椿)うちは、重症心身障害児向けの施設です。車椅子のお子さんが通うことになるので、送迎時は車椅子用の福祉車両を使います。
そのため、
・車を停めて安全に乗り降りが出来るようなスペースがあるか。
・車椅子で入るためのスロープが設置できるか。
その他に
・てんかん発作のあるお子さんもいるので、できるだけ静かな環境か。
・普段外で遊ぶ機会が少ないお子さんも多いので、お日様を浴びたり、外の空気を感じられる経験ができるか。
と考えると、都会のビルの中や日が当たらず外に出られないテナントでは思う療育ができないので、場所を探すことが一番大変でした。
イ)ホームページなどを拝見しましたが、一軒家の綺麗な建物ですね。
クラウドファンディングの目標金額の達成もすごく早かったようですが、周知のために何か活動されたのでしょうか?
椿)私も地元で障がいのあるお子さんに関わる仕事をしてきていたので、その時のお子さんたちが通い始めてくれたことなどはありました。
クラウドファンディングは、ふわっとの関係者の方もいれば、私の個人的な関係者の方、ふわっとの職員の関係者の方など多くの方に寄付していただきました。
「静的弛緩誘導法」という立川博先生が提唱した障がい児教育法があります。すでにお亡くなりになっていますが、弟子の先生たちが引き継がれていて、特別支援学校や親子学習会で全国的に実施されています。
ふわっとの児童発達支援管理責任者の北嶋先生は、弟子の先生たちの中でも中心になり、長く親子学習会をやっており、全国で指導をしていた方です。
北嶋先生のことをご存じの親御さんも多く、「北嶋先生にお世話になったので」と言ってたくさんの方に寄付をしていただきました。本当に有難いことです。
イ)北嶋先生は以前からのお付き合いで一緒に立ち上げられたのですか?
椿)実は私、北嶋先生の娘なんです。
北嶋先生は教師で、私は看護師だったので、ずっと別々に仕事をしてきましたが、私がやりたいことを話したところ、一緒に事業をすることになりました。
北嶋先生は当時、教員を定年して再雇用という形で働いていたので、丁度良いタイミングでした。
私1人では上手くいかなかったと思います。
北嶋先生の繋がりで、静的弛緩誘導法をしていた元教員の先生達が職員として集まってくれました。
私の知り合いの紹介で、障がい児に関わったことのある看護師さんも来てくれたので、開所時はベテランの人達が揃いスタートすることができました。
イ)開所は職員様の採用ですごく苦労されるとよく聞きますが、すごく心強いスタートですね。
イ)施設運営で大変なことは、どんなところでしょうか?
椿)ふわっとでは、1対1で職員が必ず付くようにしています。それ以外にプラスして写真を撮ったり、外回りのいろいろなことができるフリーの人が、あと1人欲しいと感じています。
ふわっとは、安全に楽しく過ごすことだけを目的とした場所ではなく、お子さんたちの成長発達支援の場です。
18歳でふわっとを卒業する時に、どんな子に育っているとその子の生活や人生が豊かで楽しく幸せになるのかを考えています。
そして、そこに向けて出来ることを積み重ねていくことを目的として真剣に療育に取り組んでいます。
今のところは、ベテランの職員が揃っているので、すごくいい形で運営ができています。
例えば、緊張が強くて手をぎゅっと握り続けていて、手の平がずっと湿っていて皮が剥けていた子が、静的弛緩誘導法で触れていくと、1年経たない内に緊張が緩む時間が増え、手の皮が剥けなくなりキレイになりました。
オムツしか経験していなかった子が、人生で初めてトイレに座り、何回かすると、人生で初めておトイレで成功しました。
ふわっとのお子さんは、今では4分の3ぐらいがトイレに座るか尿瓶で成功しています。
おトイレの成功が増えてきた子は、夏休みや春休みなどの長期休みの時に、普通のパンツで過ごしてお漏らししない子もいます。
泣くことでしか意思を伝えることができなかった子が、優しい声や甘えた声などいろいろな声を出して意思表示できるようになり、コミュニケーションが豊かに取れるようになりました。
それぞれが出来ることが増えて、表情も良くなり感情も出てくると、やり取りが出来るようになっていきます。
そんなお子さんたちの成長する姿を見ることがすごく嬉しいですし、ご家族もそれをすごく喜んでくれています。そんなお子さんや保護者の方に囲まれて、私たちはやりがいを感じています。
イ)職員様の力が重要とのことですが、研修なども行われているのでしょうか?
椿)開所当初からずっと月1回、職員会議という形で集まり、その中で勉強会をしています。
開所した当初は、施設として同じ方向を向いて運営していくために、職場の意思統一に力を注いできた感じでした。
3年目になってようやく新しい人たちを育てていくための勉強の時間も作れるようになりました。
イ)新たな職員採用は、どのように募集されたのでしょうか?
椿)今は、知り合いのツテが多いです。
他は近くに福祉系の学校があるので、学校にアルバイト募集の掲示をしてもらい、集まった学生アルバイトさんもいます。
イ)福祉に関わっていこうとする学生さんのアルバイトは、すごく心強いですね。
椿)ご家族は、ふわっとに期待してお子さんを預けてくれています。丸3年経った今もオープン当初の職員は揃っていますが、新しい職員も入ってきてくれています。
オープン当初の力のある職員がずっと働き続けられる訳ではないので、その方たちの後を引き継いでいける職員を育てて、今後も職員の質を維持し続けていくことが私の課題です。
イ)療育内容やイベントの計画は、どのように決められていますか?
椿)大きな外出行事に関しては、年間の外出計画を立てています。
2年目から始めて、回数を少しずつ増やしていて、お子さんの成長に合わせて内容もレベルアップしています。
例えば、2年目はモノレールに乗りに行くという外出をしました。
モノレールの映像を見せたり、おもちゃも使って事前学習し、モノレールに乗り終点まで行って帰ってくるだけのものでしたが、お子さんたちは初めてモノレールに乗る子も多く、すごく緊張して、心拍が上がったり、疲れも感じた様子でした。
3年目の今年は2度目になるので、モノレールに乗るだけでなく「モノレールに乗ってお買い物やご飯を食べよう」というものにしました。
このように、お子さんの成長に合わせて、外出行事もレベルアップしています。
イ)外出時は、地域の方に相談されるなどコミュニケーションは取られていますか?
椿)モノレールの時は連絡をして、協力をしてもらいました。
まだ地域の人を巻き込む活動はできていないのですが、同じ地区に家庭的保育事業と言って、ご自宅でお子さんを預かる小規模保育所があり、その保育所と交流をさせてもらっています。
ふわっとの子が遊びに行って、1時間ぐらい過ごして帰ってくる交流です。回を重ねるごとにお互いに成長が見られるような交流をできるようになりました。
健常児との交流は、ただ一緒にいて過ごすということではなく、お互いに思いやり、刺激を受けてお互いが成長していく双方向の交流になることが大事だと思っています。
最初は保育所のお子さんがおもちゃを貸してくれ、ふわっとの子はそれを受け取るだけでしたが、回数を重ねて4回目の時は、ふわっとの子も「どうぞ」と貸してあげられるようになって、お互い楽しそうにやり取りができるようになりました。
保育所の先生方にご理解をいただき、温かく受け入れてくださったことにとても感謝しています。そして、地域で輪を広げられたということにも、とても感謝しています。
イ)素敵な関係性で、貴重な時間ですね。
椿)ふわっとでは、ほとんど座位で過ごす子が、保育所のお友達がミニキッチンで遊んでいるのを見て、捕まり立ちをして一緒に並んで遊んだり、自然に伝い歩きして一緒に遊ぶ姿を見ると、子ども同士が交流することはすごく大事なことだと実感しました。
また、保育交流をしてきたお子さんが、ふわっとで他の子たちの刺激になることもあります。
「交流にうちの子も行かせたい」と言ってくれる保護者の方も出てきたので、発達の様子に合わせて少しずつ拡大しながら続けていけたらと思っています。
イ)成長のために1歩踏み出すことが大事なんですね。
イ)開所からHUGを導入いただきましたが、HUGにしようと思われた理由はありますか?
椿)なるべく療育に労力を割きたかったので、それ以外の事務作業を出来るだけ簡略化したかったということが前提としてありました。
HUGは、お子さんの出欠管理も出来るし、保護者の方との連絡帳のやり取りもできるし、児童の記録と、職員の記録が同時に賄えて、国保連への請求も出来て、それ以外にも職員の勤怠管理もできるということだったので、HUGを1つ入れれば、やらなければならない事務作業を全部HUGでやれるということが魅力的で導入しようと思いました。
イ)他のシステムもご検討されたのでしょうか?
椿)いくつか検討しましたが、全部できるシステムがHUGしかなくて、国保連の請求はできるけど、職員の勤怠管理はできないから別でやらなくちゃいけないものがほとんどだったと思うので、「全部HUGでやっちゃえばいい」ということが、すごく魅力的でした。
イ)サービス提供記録にはたくさんの写真とともに療育内容もしっかり入力されていますね。入力方法など話し合われて決めたのでしょうか?
椿)特には決めていませんが、職員たちには「書く内容も療育の1つと位置付けている」と伝えています。
送迎の際にも今日の様子や、ふわっとで取り組んでみてよかったこと等をお伝えします。同時に記録の中でもお伝えしていくことで、保護者の方と同じ方向を向いて子育てをしていくことにつながると思うので、連絡帳のやり取りも療育の1つとして考えています。
あとは、安心して預けてもらえるように、私達職員がどんな想いでお子さんたちに関わっているのか伝わるように書いてくださいともお伝えしてます。
イ)HUGを使って良かった点やご要望などはありますか?
椿)連絡帳に写真がたくさん載せられるのでご家族にとても好評です。
ふわっとでの様子が手に取るようにわかると言ってもらえていますし、楽しみにしているそうです。
おうちでお子さんと一緒に写真を見ながら、「こんなことしてきたんだね~」と話かけるなど、親子のコミュニケーションツールの1つとして活用されているご家族もいます。
そういう意味でも写真を送れることは、すごく有難いと思っています。
重心児は体調が変わりやすいので、当日の朝に体調を教えてくださいとお願いしています。職員は、それを元に打ち合わせをしてお子さんたちを受け入れるので、連絡帳は朝から活用しています。
日々の連絡のほかにも保護者の方が、おうちやお出かけ、リハビリなどふわっと以外での様子を送ってくれます。
学校の授業参観の様子や運動会の様子の動画はHUGではなくメールで送ってくれます。HUGで見られたら職員みんなでどこでも共有できるので、動画が添付できるようにお願いします。
イ)動画は、他の皆様からもご要望を頂いています。改めて社内で共有させていただきます。
イ)最後に今後のビジョンをお聞かせください。
椿)うちは、療育の質というものにすごくこだわりを持っています。
開所してまだ3年目です。1年目では分からなかったことが2年目に分かったり、2年目で分からなかったことが3年目でようやく分かったことも沢山あります。
今、良いと思って一生懸命やっていることが、どんな形になるのか10年単位で見ないと分からないところもあると思います。
10年後や20年後のお子さんの姿を見据えて、“今” に関わる支援を始めたので、ただ楽しく過ごして帰るだけではないこの場所を、できるだけ長く続けていきたいと思っています。
実はここをオープンした1番のきっかけは、入所施設で働いていた時に関わったお子さんにあります。
当時は思春期で色々と大変な状況で入所していたのですが、その子は「1人暮らしがしたい」という目標を持って、その為にはどんなことが出来るようになったらいいのかと、毎日一緒に考えて、怒ったり泣いたり笑ったりしながら準備して過ごしてきました。
結局、18歳で施設を出る時に1人暮らしをすることは叶わなかったのですが、コロナ禍を経て、このままずっと施設の中にいるのは嫌だと、自らヘルパー事業所の所長さんとお話をして、自分が入所してる施設長さんともお話して、1人暮らしを実現しました。
一緒に過ごした期間は思春期の3~4年ですが、今でも連絡を取り合っています。
一緒に過ごした時期に一緒に頑張って身に付けた力を100%発揮して、独り暮らしという夢を叶えた姿を見て、私は「看護ってすごいんだ」と改めて教えてもらいました。
身体的にはものすごく重度のお子さんというか、今はもう30歳を過ぎていますが、24時間誰かの手が必要なので、そのやりくりを全部自分でして、1人暮らしを3年以上、今でも続けています。
その日が楽しければそれで良いとだけ思って過ごしていたら、絶対に叶わなかった夢です。
1人暮らしの目標を諦めないで、いろいろな力を付けていったからこそ10年を経て、夢を実現するまでになりました。
私も40歳過ぎて職業人生折り返しで、これから先どんな風に自分が生きていきたいか考えた時に、10年後を見据えて、今に関わる仕事を真剣にしたいと、その子の姿を見て強く思うようになりました。
職業として、真剣に子どもたちと向き合える場所で働きたいと、「ふわっと」を作りました。
ふわっとに来ている子は、重心児なので1人暮らしをすることは難しい子が多いと思いますが、周りの人に自分の意思を伝えて、やり取りをして、幸せで豊かな人生を歩んでいって欲しいです。
それには、周りと良い関係を築いていく力がとても大事で、18歳で大人の世界に出るときまでに、たくさんの力を付けてもらいたいと思っています。
お子さん達の笑顔や成長していく姿を見ることはとても嬉しいし、ご家族に喜んでもらうこともやりがいに繋がっています。
お子さんとご家族に私達も力を貰って、本当に幸せに働かせさせてもらっています。
そして、お子さんやご家族のことを一緒に考えて、一緒に喜んだり心配したり悩んだりしてくれる職員の方たちと働けることも、とても幸せだと思っています。
ふわっとに関わり、支えてくださる方々に感謝しかありません。
イ)幸せの連鎖ですね。
椿)そうですね。本当に有難いですね。
イ)今日はとても貴重なお話をありがとうございました。
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