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2023/12/12
放課後等デイサービス事例インタビュー
長野県で放課後等デイサービスを運営する合同会社RIGHT MAN GROUP様にお話を伺いました。
合同会社RIGHT MAN GROUP様は、2021年4月に『学び舎with』を開所されました。
学習塾の運営から放課後等デイサービスを立ち上げた経緯を代表の山田様からお話を伺うとともに、共同代表であり放課後等デイサービス統括管理者の清川様にもお話を聞くことができました。
インタビュアー(以下:イ)事業所名などを含めた簡単な自己紹介をお願いします。
山田様(以下:山田)合同会社RIGHT MAN GROUP代表社員の山田です。
創業としては学習塾「学び舎CRAM」を立ち上げ、運営していましたが、コロナ禍を機に放課後等デイサービス・児童発達支援「学び舎with」を開所しました。
現在、長野県の松本市、安曇野市、塩尻市に5教室を運営しています。
清川様(以下:清川)共同経営者の清川です。代表とは以前からの同僚であり、一緒に学習塾を創業しました。
現在は現場の統括を行っています。
イ)もともと学習塾を経営されていますが、放デイを始められたきっかけは?
山田)以前の職業も塾講師でした。
駅前で何不自由はなかったわけですが、自分のやりたい事がどこまでできるか挑戦したくて、駅前から離れた場所に学習塾を開業しました。
駅前の学習塾への保護者の相談内容は学力だったのに、その場所にはいろいろな人が来るようになりました。田舎で土地柄もありますが、学力重視の価値観で塾に来るのではなく、どちらかというと居場所を求めてくる感じです。
学校と部活が終わったから、「なんとなく塾に行く」感じです。
保護者様との面談でも、テストの点数を上げる心配よりも、学校の授業についていけているかなど、将来の不安を含めての社会生活への理解度を聞かれるようになりました。
それは、塾の一コマの授業の中では測りきれないもので、塾の授業以外での関わりを多く求められるものでした。
そんな時に放課後等デイサービスの存在を知り、福祉サービスにチャレンジすることにしました。
イ)塾に来る発達障害のあるお子さまには、学力よりも社会性など根本的な支援ができたらと、保護者様のニーズに応えて放デイを始められたわけですね。
山田)とてもニーズがありました。
コロナ禍でしたが、準備して開始するにはいい時間になりました。
放デイを開所して、最初の利用者は学習塾に通っていた生徒です。
イ)開業するにあたって何から始められましたか?
山田)施設の見学はさせていただきましたが、同業他社ということで支援中の状態まで見ることはなく、親身に相談を受けてくれるところもなかったので、本当に手探り状態でした。
参考になったこともあったけど、見えないところがある中でのスタートでした。
イ)求人はどこに出されましたか?
山田)ハローワーク、人材紹介会社、有料無料の求人情報誌に経験者の求人を出しました。
少ない応募の中から放デイ経験のある保育士を採用できたおかげで、その保育士の経験を療育に取り入れることができました。
療養の経験者は増えましたが、最初から施設の支援方針が定まっていたわけではありません。
この業界はフランチャイズチェーンなどもあり、支援の幅がとても広い。そのため、療育の方針も一つに絞ることができない状態でした。
しかし、一つに絞ることも正しくないと思えてきたため、療育の方針を「支援が必要な子、一人一人に合わせた療育を行うこと」にしました。
発達障がいの程度は、人それぞれです。開所当初は、子どもに合わせて右往左往したこともありましたが、研修を重ねるごとに支援方法を確立してきた感じです。
研修は、放デイの立場から「どう支援するのか」を心理士の先生をお招きした職員研修です。
心理士の視点から、放デイの支援について教えてもらい個別支援に明確な答えがない中で職員の疑問にも対応してもらいました。
この職員研修を経てきたことで、「支援が必要な子ども一人一人に合わせた療育を行うこと」ができるようになりました。
イ)一つのテーマに縛られるのではなく、お子さん一人一人に合わせた療育を行っていくわけですね。
イ)1号店の梓川教室からわずか1年間で3教室に増えています。どのような理由からでしょうか?
山田)ニーズがあったのもありますが、当時はコロナ禍でもあり、リスクヘッジのためです。
コロナで閉鎖しても利用者が別の教室に通えるように、利用するエリアで利用者が困ることがないように分散した結果です。
福祉サービスは大変なことも多いのですが、市に問い合わせができたり、担当者が情報提供してくれたりします。補助もあり手厚い仕組みがあります。
一方、塾経営は、利益を出して生き残っていくには、誰の助けもなく、自分自身ですべて行っていかなければならないので相当の努力が必要です。
その業界で生きてきた身としては、福祉は頑張り甲斐があると感じます。
施設も、市から必要とされて開所しました。塾からすると考えられないことです。
イ)利用者を獲得するために何かされているのでしょうか?
山田)相談員さんからの紹介が多いですね。
ホームページから直接のお申し込みもありますし、市を通して来る方もいらっしゃいます。あとは学校からもあります。
支援学級のコーディネーターさん(注1)にお時間をいただき開所の挨拶をしました。そこで支援が必要なお子さんのお話を聞かせていただきました。
この辺りでは、まだ放課後等デイサービスが浸透していないので、親身になっていただきました。
イ)その時、何を持参されましたか?
山田)3つ折りのパンフレットとイベントチラシです。
チラシは、コロナで大きな合同イベントは開催出来なかったので、保護者に向けての「保育士の子育ての悩み相談」など、いくつかの種類のチラシを持参しました。
施設の取り組みを知っていただくためでもありますが、何かの拍子にチラシが保護者に届く可能性があると思ったからです。
塾は100%営業が必要ですが、福祉サービスは営業し過ぎると嫌われてしまいます。体験会のあとの「追い電話」などは特に嫌われます。
デリケートな部分ですから、保護者への営業は難しいですね。
(注1)特別支援教育コーディネーターは、保護者や関係機関に対する学校の窓口として、また学校内の関係者や福祉・医療等の関係機関との連絡調整の役割を担う者として、小・中学校は先生、養護教諭、特別支援学級の先生が。こども園・幼稚園は主任教諭などが特別支援教育コーディネーターを兼ねて担当します。
コーディネーターは、発達障害を含めた障がいのある子どもの自立や社会参加に向け、校内外の関係機関のネットワークやチームワークで一人ひとりのニーズに合わせた支援の実現に尽力します。
イ)療育の内容について教えてください。
山田)必ず一部は集団のプログラムを行います。
将来の自立を考えた場合に日本では、チームワークで行う集団活動ができなければなりません。
無理にではありませんが、鬼ごっこやカードゲームなど、ルールがあることを一緒に行います。
イ)ルールを学ぶために遊びを取り入れているわけですね。
山田)一方で自由遊びでは、自分自身の「好きなこと」「得意なこと」を見つけるために行います。
実は、自分の好きなことすら分からない子どももいます。
「集団活動」と「自由遊び」2つの柱を大事に、療育活動を行っています。
イ)好きなことを見つけるために職員の方が工夫されていることは?
山田)声かけですね。「やってみよう!」といろいろと声をかけています。
清川)私も子育ての経験があります。その中で思ってきたのは、たくさんの経験をさせて、たくさんの「できた!」を増やして子どもの自信につなげていくことです。
この想いはパンフレットにも記載しています。
たくさんのことにチャレンジさせて、可能性を広げてあげて、ゆくゆくは自立につなげていきたいと思っています。
イ)施設の特徴を教えてください。
山田)療育の方針とは別に療育の指針として、個別支援計画に反映できる《標準化された適応行動の評価尺度》を導入しています。
アセスメントをする上で、学術的に認められた評価方法を導入することで数値化しています。
イ) 数値化することへのこだわりは、学習塾を経営されている視点からでしょうか?
山田)適応行動の数値化のことは、契約されたら、しっかりと説明しています。
保護者の方には、アセスメントの結果から数値を根拠に、必要な支援について説明しています。数値化することで、その子の年齢にあった行動を支援できます。
ただ、体験会のときなどは、最初に言われても分からないと思いますので、そこまで説明していません。
保護者(や関係者)からの面談を通じて、子どもの適応(=実生活の中でどれだけうまくやれているのか)のレベルを明らかにします。
イ)施設が増える中で職員の方への教育はどうされていますか?
山田)先程は心理士の先生と言いましたが、国立大学の先生をお招きして、全社員に対して研修をしています。
例えば前回は、「これまでの発達障がいの基本の復習と《標準化された適応行動の評価尺度》の理解を深めるために事例検証」を実施しました。
研修を受ける中で、療育の内容などをみんなで考えることで学び合っています。
標準化された適応行動の評価尺度は心理士でないと受講できないようなハードルが高い内容です。現場の大変さをよくご存知の先生が、しっかりとした療育に通じる知識を、分かりやすく研修として教えてくださいます。
研修の先生には本当に助けていただいていて、運営の相談にも乗っていただいていますし、現場にも入って療育を実際に見てもらい、フィードバックをもらうなど、細かいところまでご指導いただいています。
保護者への対応についても、面談の仕方や聞き方、困りごとへの焦点の当て方など、具体的な言葉遣いまで細かく教えていただいています。
ペアレントトレーニングなどは来年度の研修課題になっています。
イ)今は、どのようなことに気を付けて保護者の方に対応されていますか?
山田)適応行動の数値評価は保護者にインタビューするように質問をします。(半構造化面接)
質問事項が決まっているので、口頭で質問しながら評価をして数値化していきます。
支援員は、保護者と面談することで信頼関係を作り、いつでも相談できる状態を作っておきます。
面談の道具として適応行動の評価があるので、予約をしてもらって面談をし、その数値を基に話し合い、困りごとを聞き出して信頼関係を築いています。
イ)適応行動の評価で保護者と関わるきっかけを作られているわけですね。
山田)勉強と同じで模試のようです。模試もすぐに答えが来ないように、結果を集計して、様子を分析していきます。
適応行動の評価結果を伝えるため、保護者の方には、また施設に来てもらいます。
「この前の結果はこうでした。今はこんな感じです。数値的には、この支援が必要です。」と具体的に話すことで信頼を少しずつ得ています。
イ)フィードバックでも接点が生まれるわけですね。
山田)適応行動の評価は支援計画に充分活かせるので、経験や勘だけではない療育を実現するツールとしても利用しています。
イ)面談以外に、何か気を付けていることはありますか?
清川)保護者との関わりなんですが、HUGで毎日の様子を伝えています。
あるお父さんは毎日会社から帰ると、お母さんのスマホに入っているHUGで、お子さんの様子を見ることをすごく楽しみにしている。だから「夫婦で楽しみに見ています。」とおっしゃっていただきました。
そんな話を聞くと、とても嬉しいですね。毎日たくさんの写真は無理でも、週末やお出かけの時は、なるべく多くの写真をお届けしようと頑張っています。
イ)お子様の笑顔で楽しさは伝わりますよね。そこでさらに信頼関係が生まれるわけですね。
清川)いいことだけではありませんが、出来事は必ずHUGを通して伝えています。
山田)塾をやっているので、保護者への報告の重要性を感じていました。
結果だけではない部分をどうやって報告するか、塾としてどう頑張るかが課題でした。
療育は支援内容にあたるわけですが、ペーパーテストではないので伝え方にも限界があります。
営業にしても塾業界は、とても進んでいます。その点、福祉サービスは遅れている部分があります。
その塾経営の視点から見ると、HUGはかゆいところまで充分に手が届く仕組みになっているので、あとは「どう入力するか」「機能をどう活かしていくか」の問題になってくると思います。
例えば、塾の授業中に寝ていて悪いテスト結果で面談を迎えて大きな問題になるのか、日々の様子を正確に伝えておいて面談を迎えるのでは、大きな差があります。
悪いことも報告して、保護者の方にも受け止めてもらうことで信頼関係を築くしかないのです。
出来事を良い事も悪い事も含め、キチンと伝えるツールがあることは、とても大事なことになります。
写真を多く送ることで、いい反応が返ってきます。それを励みに保護者の方への報告をしていきます。
塾の方でも入退室の記録、テスト成績のグラフ化、授業の様子を見るなどのシステムはあり、もちろん導入していますが、HUGはさらに経営者目線も加わっていて、売上管理や先生の勤務体制も管理できるのは本当に助かっています。一目瞭然で、すべてがパッケージ化されているところもいいですね。
イ)今後のビジョンについてお聞かせください。
山田)今は教室の質を向上させていくことです。
《標準化された適応行動の評価尺度》や《教育機関で実施されている知能検査》などをしっかりとできるようになること。さらには、そこで培った知識をもとに、数値化できていないお困りの療育施設さんへ、今とは逆ですが、こちらが研修できるようになりたいと思っています。
これは、研修をしてくださっている先生の夢でもあります。
日本ではまだまだ子どもの発達特性の評価がしっかりと行われていないのが現実です。評価を広めることが、適切な支援につながると指導していただきました。
僕らも、これから向かうべき療育の姿だと思いますので、先生の考えを応援していきたいと思っています。
まだ展望ではありますが、評価がしっかりとでき、教えられるくらいに経験を積み重ねていきたいです。
システムはHUGに任せて、「研修は学び舎with」と言ってもらえるようになりたいですね。
大学院に行かなければ知ることができないのではなく、せっかく学術データがあるなら療育の現場や保護者にも広めて行くべきです。
先生を巻き込みながら情報発信していくことが使命なのかと、目標が見えてきたところです。
イ)大変勉強になりました。貴重なお話をありがとうございました。
弊社が提供している「HUG」は放課後等デイサービス運営会社が開発したソフトウェアです。
請求業務はもちろん、個別支援計画やサービス提供記録の作成から管理も簡単に行えます。
実際にHUGをご利用いただいている放課後等デイサービス事業者様の感想をご紹介していますので、請求ソフトや管理システムの導入を検討されている方はご参考くださいませ。
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