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2025/05/01
相談支援事例インタビュー
高知県高知市でこども園や保育園、学童保育や学習塾、放課後等デイサービスや相談支援事業所を運営する学校法人せいわのわ様にお話を伺いました。
児童発達支援・放課後等デイサービス、保育所等訪問支援、相談支援事業所『アルペン清和』を立ち上げた経緯などをマネージャーの谷岡様と相談支援専門員の高橋様のお二人からお話を聞くことができました。
インタビュアー(以下:イ)簡単に自己紹介をお願いします。
高橋様(以下:高橋)アルペン清和の高橋です。相談支援専門員をしています。
谷岡様(以下:谷岡)アルペン清和の谷岡です。マネージャーとして主に請求業務をしています。
イ)相談支援と障害児通所支援の事業は、どちらが先になりますか?
高橋)2019年に障がい児の通所支援を先に始めて、相談支援は1年前の2024年4月に始めました。
イ)障害児通所支援の方からお伺いします。2019年に1号店を立ち上げられた経緯を教えてください。
谷岡)うちは学校法人です。元々、認定こども園などを運営していました。
その中で加配児童(注1)が増えてきたことと、その後のフォローアップに職員を充てることができないなどの課題がありました。
児童たちをもっとサポートできないかと考えていたところ、放課後等デイサービス事業を知り、事業として始めることにしました。
イ)子ども園に通っているお子さん達の状態を見て、開所に踏み切られたということですね。
谷岡)そうです。たまたま事業を撤退する児童発達支援事業所があったので、そこを引き継ぐ形で事業が始まりました。
イ)谷岡様は、こども園から異動ですか?
谷岡)僕は開所した年に入社したのですが、畑違いの関係ない分野からです。加算が取れる資格を持っていなかったこともあり、本部所属でマネージャーという形で入りました。
イ)いきなりマネージャーの大役だったんですね。
谷岡)そうですね。全く何も知らない状態で、異業種から入った僕にとっては、考え方が違う部分が多かったことと、他の事業所を引き継いだばかりということもあり、最初はとても大変でした。
前事業所から2名の職員が残ってくださいましたが、M&Aや事業承継すると起こることだとは思いますが、やり方が変わったことで、どうしてもいざこざが発生していました。どうにか2年目以降から無くなっていった感じではありましたが。
イ)事業所を引き継いだのであれば、ゼロからの募集ではなく、利用者がある程度いる状態で事業が始まったということですね。
谷岡)15人くらい残っていて、新規は5名くらいでした。
イ)事業を始めて良かったことなどはありますか?
谷岡)こども園から異動になった職員は、個別のサポートを具体的にできることがいいと言っていました。
こども園だと20〜30人の子どもたちに対して先生が1人のところを、児童発達支援は10名定員の中に4〜5人の先生が支援します。
先生1人で子どもが2人という環境で「手厚くサポートできる」ということが、先生たちからの話でよかったことと聞いています。
イ)確かに、一人ひとりの子どもたちをより見ることができますね。
(注1)保育園や幼稚園において、障がいや発達の遅れがある子ども、集団生活での困りがある子どもに対して通常の職員数に加えて保育士や先生を追加で配置し、生活面や集団参加をサポートする制度。
イ)9事業所と順調に施設を増やされていますが、事業所を増やしてきた理由などはありますか?
谷岡)私達は高知県で事業をしていますが、高知は過疎化が進んでいまして、限界地域という言葉が最初に出たのは、実は高知県なんですよ。
本当に人口が少ないんですね。このまま、ここで事業をやっていくことは、僕らも事業に限界を感じています。
高知で広げている最中ですが、岡山県にも新しく出店させていただきました。
高知は南海トラフ地震が来る想定地域なので、そうなると事業継続はまず不可能になります。そのためキャッシュフローを回していくためにも、本州に事業進出を図っていこうと、岡山でも頑張っているところです。
イ)高知県では障がいのある子どもたちが通う場所は、まだ足りていないということですね。
谷岡)障がい児の分野は足りないのですが、園児はもう限界です。いわゆる保育園や幼稚園の経営は、かなり厳しい状況です。
園の定員割れもかなりあり、閉園する保育所や合併する園が多い状況ですね。
イ)岡山と高知では距離が離れていますが、普段の施設の連携や職員の交流などはありますか?
谷岡)社内ではビジネスチャットで連絡を取っています。
児発管は高知から異動しているので、職員がマネジメントという形で岡山にサポートに入る体制ですね。
イ)療育のテーマやコンセプトで大事にされている部分はありますか?
谷岡)事業自体は大元のカリキュラムがあります。未経験の職員でも、そのカリキュラムに則ってやっています。
事業所もカリキュラムの中で大枠から外れない程度であれば、自由にやっても構わないという方針なので全部事業所に任せています。
事業全体のビジョンで言うと、ワンストップ型の支援を提供したいと思っています。
幼児には、音楽療育型という音楽に特化した療育を提供します。
小学生には、運動学習特化型をメインに提供し、中高生ぐらいまで利用される方は就労準備型の別のカリキュラムを提供させていただいています。
また、自社でセラピストの先生を多く採用できたので、セラピストの個別療育を提供するレスパイト型の支援を始め、自社内で完結できるような支援体制を整えています。
イ)事業所を複数展開されていく中で、子どもたちの成長段階に応じて、通う施設や受けられる支援が選べるような形になったのですね。
イ)相談支援事業を始められた何かきっかけなどがあったのですか?
高橋)6事業所目を開所した時に、「良かったらアルペンさんが、相談支援事業所を作ってくれませんか」と市からの要請がありました。
それで「分かりました」と開所して、気が付いたら100名近くの契約になっている状況です。
イ)市からの求めに応じる形で相談支援を始められたわけですね。
高橋様は相談支援専門員でいらっしゃいますが、元々、アルペン清和様にお勤めだったのでしょうか?
高橋)元々は別の県で理学療法士として病院に勤務していました。そこから別の会社ですが児童発達支援や放課後等デイサービスの事業に関わるようになりました。
地元が高知なのでプライベートの都合で戻るタイミングで縁があり、このアルペン清和に2021年に入社しました。
最初は理学療法士としての配置です。事業所で療育を担当していました。
イ)相談支援専門員の資格は、開所に合わせて取得をされたのですか?
高橋)そうですね。きっかけは会社から取得するように言われたからです。
イ)理学療法士のお立場から相談支援専門員になられて、戸惑いなどはありませんでしたか?
高橋)やりがいの部分で言うと、病院の理学療法士の対象は高齢な方や重度の障がいのある方、急性期の患者さんでした。回復していく患者さんも沢山いますが、どちらかというと維持に重点を置くところが多くあります。
しかし、児童の分野は成長や発達を目の前で感じられて、そこに携われるというところにやりがいを感じます。
実際に相談支援でも、例えば、高齢者の分野だとご家族の願いは、「そのままで」や「本人の思うがままで」になります。
しかし、児童の保護者となると、「こういうことができるようになって欲しい」「こういう風な成長をして欲しい」と具体的な要望があり、自分達が携わる意義みたいなものをより感じられるようになりました。
イ)お子様の成長に直結していることにやりがいを感じられるわけですね。
100名ほど担当されているそうですが、アルペン清和様に通われているお子様がほとんどですか?
高橋)約8割くらいはアルペン清和や他を併用している関係がある方です。残りの2割ぐらいは関係ない事業所さんとの繋ぎ役をしています。
イ)相談支援の利用を希望される方は、市からの紹介が多いですか?それとも直接のお問い合わせが多いですか?
高橋)直接の問い合わせが多いですね。
高知市はセルフプラン(注2)が認められていたので、相談支援専門員を通さない利用者さんが多くいました。
アルペン清和に関係ある方は、セルフプランから相談支援専門員を付けるように移行された方がほとんどです。
今、新たに療育を探す方は、事業所に問い合わせて見学や体験をした後に「利用するにはどうしたらいいですか」という質問に対して、「相談支援専門員がプランを立てて、療育が受けられるようになる流れになります。」と説明を受けるので、相談支援を利用される方が増えました。
イ)相談支援時に特に意識されてる部分はありますか?
高橋)お子さんを見る前に保護者さんと対面する事が多いので、まずは保護者さんの困りごと、特に家庭内での困りごとを伺い、こうなってほしいという要望やニーズを言葉のまま拾い上げることを意識してます。
事業所がもう決まっている方は別ですが、お子さんに対しての要望に応えられる事業所を自分が持っている情報の中から取捨選択できるように、プランを沢山持つようにしています。
保護者さんが選択できなかったり、選択肢が狭まることのないように情報収集するように心掛けています。
イ)保護者の方との最初の面会は、ご自宅を訪問するのですか?
高橋)最初は事業所の見学のタイミングが多いですね。うちの事業所のどこかに問い合わせが来たのであれば、私が事業所に出向いてお話を伺います。
最初は保護者の方が単独で来られることが多いのですが、体験の場合はお子さんも同時に会うことができます。
体験がお済みの方が相談支援を希望された場合は、放デイの事業所に来所いただいて、相談支援の内容の説明をしてから契約という流れになります。
来所していただけるのは、放デイ事業所を持っている強みであると思います。
イ)支援になるような面会の回数は、月に何回ぐらいになりますか?
高橋)月によって変動はありますが、計画作成とモニタリング等を合わせて、約30回ぐらいが平均になると思います。
新規の利用者は、モニタリングの回数を高めに設定していることもあります。
2、3年目になってくると、児童さんも事業所に慣れてきてモニタリングの回数が減ってくるので、2年目以降は減少すると思います。
今のペースだと20〜25回ぐらいが平均になりそうです。
イ)モニタリングになると、ご自宅に出向かれることが多いですか?
高橋)自宅にも伺いますし、園に通っている子は園に、他の事業者が構わなければ、療育の様子を見にいって、最終的に報告書の形で保護者の方に同意とサインを貰う流れになります。
(注2)セルフプランとは、障害福祉サービス等を利用する障がい者(児)の生活を支えるために、解決すべき課題や支援の内容を具体的にプラン化して、適切なサービス利用と効果的な問題解決につなげるために作成される「サービス利用計画」を、サービス利用者やご家族が自ら作成した計画。
イ)他の事業所や関係機関との関わり、情報収集はどのように取り組まれていますか?
高橋)私は相談支援をしてまだ1年目と経験が乏しいので、相談支援経験の長い方から情報収集しました。
例えば、
・この連携の仕方が連携を取りやすい
・事業所間でのやり取りは、自分がこんな風に間に入ることで、よりスムーズにいく
・あそこが新しい事業を始めるらしい
などの情報をいただきました。
保護者の方には、「こんなことがあるみたいだから、確実に分かったらお知らせしますね。」などと伝えて、インプットとアウトプットを繰り返してきました。
イ)相談支援事業は横の繋がりがあるのですね。事業所同士の集まりなどがあるのですか?
高橋)書式が変わったりすると、行政からの通達で集まります。
あとはサービス以外の社会資源や地域資源のことで、相談員だけで話し合う場があります。「この地域はこういうものが足りてないよね」などと情報共有をする場が地域ごとにあります。
イ)定期的にですか?何か伝達事項があったときですか?
高橋)約2カ月に1回のペースで、高知市が主催をしてくれます。
それ以外は不定期です。書式の変更や、請求に関してのことなど通達があった時に集まる感じです。
イ)相談支援専門員として、やりがいに感じていることなどがあれば教えてください。
高橋)基本的には相談支援は、相談者を福祉サービスに繋げることが仕事になります。
福祉サービスを利用しない場合は、計画やプランを立てることができないので、あくまで障害福祉サービスを使うこと前提です。
しかし、それ以外の相談が来たりすることもあり、それが嬉しいです。
例えば、子育てや学校の進学、お仕事の相談などです。あと理学療法士ということもあり、おばあちゃんの病院の相談などです。
障害福祉サービスに直接関わらない相談を貰ったりすることも僕としては嬉しいです。
電話も急にかかってきますし、メッセージとかもよくいただきます。
イ)それは、高橋さんが信頼されているからですね。
相談支援に付随する業務や、そういった電話を含めると、かなりお忙しいですね。
高橋)それは他の相談支援員も同じだと思います。
イ)相談支援でHUGを利用されるとき、どの辺りの機能を使うことが多いですか?
高橋)まずは児童の利用者プロフィールの上に出てくるアセスメントの管理です。
担当者会議の議事録、本計画でモニタリングするところは、ずっと使うところになりますね。
あとは、各種の加算や児童の経過記録を議事録などにまとめて記録します。
イ)経過記録というのは、保護者の方からの聞き取り内容になりますか?
高橋)保護者さんからです。基本の相談以外の部分で問い合わせ対応したり、支援会の日程調整をしたりとかの記録です。
保護者の方によっては、記録をしっかり残した方が良い状況もあり、別途付け足していく流れですね。
日常会議では手書きでメモをしてるので。今、その内容を打ち込むことが滞っている状況ではあります。
イ)相談支援のHUGがお役に立っている部分はありますか?
高橋)何度か問い合わせもして、書式も沢山変更していただいて、今はすごく使いやすくなりました。
元々アセスメント表は18歳以上の特定相談の障害者向けの書式になっていたのが、今は障害児向けのアセスメント表に変わったので、お陰様でそのまま使えるようになりました。
イ)高知市は独自の様式だったので問い合わせをいただきましたね。今は自治体独自の様式でもご利用いただけるようになりました。
高橋)高知市でそのまま使える書式にもなっていますし、高知市の隣の土佐市や南国市でもそのまま流用できるので書式で困ることはないです。
イ)谷岡様にお伺いします。HUGは、どのあたりの機能を業務で使われていますか?
谷岡)本部として、受給者証の登録から利用情報の登録までと、請求に関わる業務で使用しています。
あとは、出退勤など運営に関わる運営関係も管理しています。
イ)9事業所の請求となるとかなりの量で大変ですね。
谷岡)相談の請求業務は高橋が担当してくれていますが、放デイはすべてになるので多いですね。
イ)請求のために、あちこちの事業所に出向いたりすることはありますか?
谷岡)全てをHUGに移行してデータを1本化させたので、今はないです。
情報は全て本部に集まるようにして、分かるようにはしています。本部でまとめて請求処理をしています。
イ)HUGでお役に立っているのはどんなところですか?
谷岡)良かったところは、全部です。運営に関わることは、HUGの中にあるじゃないですか。それはすごく良いですよね。
情報が全部そこに集まっていくということです。
あとは、頻繁にアップデートしてくださっているので、報酬改定で法律の対応など情報が変わっていく中で柔軟に対応してくださることは、使っている側からすると、とても有難いです。
イ)ありがとうございます。複数施設を管理する上で、どの辺りを特に気を付けて見られていますか?
谷岡)一番多く見ているのは、人員配置の確認ですね。
HUGの出勤実績表を印刷したものを、出勤簿として提出することを高知市からOKをもらっているので、出勤予定表と合わせ、人員配置のチェックをしています。
イ)それは人員配置が問題ないか、予定通り出勤しているかなどですね。
イ)今後のビジョンや目標をお聞かせください。
高橋)相談支援としては、自分のやりがいに繋がるところになりますが、もっと身近な存在になれたらと思いますね。
福祉サービスの制度はとても難しいと感じています。
サービスを使いたいと思っても、使うまでにたくさんの場所へ面談に行ったり、サインをしたりなどのプロセスをたくさん踏んで、やっと利用に繋がります。
そういうことを全部把握しているのが相談支援専門員なので、助けになれる部分が沢山あります。
いろいろな相談事に対して、ぱっと来て相談して、ぱっと返せるぐらいの身近な存在。そんな役割や立場になれたら良いなと思っています。
谷岡)法人全体のビジョンとしては、今までは児童分野だけだったのですが、今後は大人の支援もしていきます。
ノンストップでサポートできるような法人を目指して、今年度中にはB型就労支援施設の開所を考えています。
事業全体で地域に貢献していけるような法人を目指していきたいと考えています。
イ)素晴らしいですね。本日は、貴重なお話を頂きまして、本当にありがとうございました。
弊社が提供している「相談支援HUG」は、相談支援事業所の事業運営に必要なすべての業務をサポートします。
アセスメントや計画・モニタリングの作成はもちろん、電子サインも可能なので利用者様とのスムーズなやりとりができます。
また、直感的にジェノグラム・エコマップを作成できるので、帳票作成にかかる時間の削減にも貢献します。
相談支援事業所運営にお悩みの方、お気軽にお問い合わせください。
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