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2023/12/21
放課後等デイサービス事例インタビュー
鹿児島県鹿児島市で児童発達支援・放課後等デイサービスを運営する株式会社ヒューマンリンク様にお話を伺いました。
株式会社ヒューマンリンク様は、2020年4月に『児童発達支援・放課後等デイサービス 保育所等訪問支援 キッズアドベンチャー』を開所され、現在は3つの施設を運営されています。
施設を立ち上げた経緯や水泳を取り入れた療育について、代表の前村様からお話を聞くことができました。
インタビュアー(以下:イ)自己紹介をお願いします。
前村様(以下:前村)株式会社ヒューマンリンクの代表の前村と申します。
2020年4月に鹿児島県鹿児島市で児童発達支援・放課後等デイサービス 保育所等訪問支援所のキッズアドベンチャーを立ち上げ、翌年にはキッズアドベンチャーアクア、そして今年の4月にキッズアドベンチャーオアシスをオープンしました。
今は新しくオープンした施設の管理者をしており、お子様の発達評価や個別支援計画の立案に携わっています。評価内容は保育士や児童指導員にお子さんの特性として伝えて、実際の支援に繋げてもらっています。
イ)事業所を立ち上げられてちょうど4年目ですね。鹿児島県で初めて療育に水泳を取り入れられていますが、具体的な支援内容を教えてください。
前村)児童発達支援には小集団活動もありますが、放課後等デイサービスは個別療育を主体にしています。個別療育は20分の間隔で「運動支援」と「日常活動支援」をしています。
私は作業療法士なので、子どもの特性を見て、その子に必要な指先の運動や手の使い方、文字の学習などを評価します。その評価から必要な動きができるような道具や玩具を使うように支援計画を立て、子どもの特性を職員に伝えることで、成長を促していきます。
現在、放課後等デイサービスの子どもたちに対して、土曜日の午後からに限定して他のプール施設を借りて水泳療育を行っています。
児童発達支援も水泳療育を取り入れる計画でしたが、すでにスイミングスクールに通っている子どもが多かったので断念しました。
子どもに応じてになりますが、水に顔をつけるなどの水に慣れることから始め、段階的にクロールや平泳ぎの泳法の指導に進んでいきます。
イ)何故、水泳だったのでしょうか?
前村)私はパラスポーツの水泳に関わっています。今年は鹿児島国体がありましたが、大会の水泳役員として総務を務めました。
水泳だけではありませんが、障がいのあるお子様が「スポーツを通じて自信をつけていけるように」と取り組んでいます。
イ)昔から水泳に関わっていたのですか?
前村)スポーツクラブでのコーチ経験があります。地元の鹿児島には「錦江湾横断遠泳」という小学生が桜島まで泳ぐ有名な遠泳大会があり、そのコーチをしていた経緯から、水泳は子どもにとても良い運動だと思っています。
一般的に水の中では、前庭感覚(注1)が優位に働きます。
多動症などのお子様の傾向として前庭感覚が少し弱いところがあるので、その弱い前庭感覚を水の中では増幅させてあげられます。その意味で障がい児にとって水泳は良い支援になるので療育に取り入れています。
(注1)前庭感覚とは、耳の奥にある三半規管を通して重力や体の傾き、スピード等を感じる感覚。
普段意識しませんが、人は常に重力に抗して姿勢を保持しています。目を閉じて片足立ちをすると姿勢を調整しようと身体が揺れていると感じます。これらは平衡を維持する働き(平衡を維持・姿勢保持)があるからです。また、前庭感覚は眼球を動かす筋肉と連動(眼球運動)しているので音読や板書がスムーズに出来ます。人との距離感や方向感覚がわかるのも前庭感覚のおかげです。
イ)水泳の見識が児童発達支援の開所につながったのですか?
前村)私は元々医療機関で作業療法士としてお子様の発達評価とリハビリに携わってきました。
いつも考えていたのは、お子様にとって「何が必要なのか」です。
鹿児島でリハビリを受けられる医療機関が少ない中、受診希望のお子様が多い現状から、どうしてもリハビリ回数が少なくなり、症状を改善させてあげたいのに経過を追うだけになっていました。
「そこをどうにかしたい」との思いがあり、知人に相談したところ「福祉事業として障害児支援事業を立ち上げ、療育にリハビリを取り入れればいい」とアドバイスをいただき、それならば地域の中で必要とされる障害児通所支援施設を立ち上げようと準備を始めました。
イ)リハビリを通してお子様の成長を見守るために立ち上げられたわけですね。
前村)そうです。現場上がりの想いです。
イ)運動支援は、どのような運動ですか?
前村)感覚統合(注2)を意識した運動です。
運動評価の結果から、例えば今は「身体の軸を育てることが必要」となったら、それを伸ばす遊びをプログラムして個別療育として運動療育を提供します。
イ)運動療育を新規に取り入れたくても何から取り入れていいのか分からない施設も多い中、感覚統合を意識したプログラム作りを考えているわけですね?
前村)施設見学時にアセスメントを行い、感覚評価を行っています。感覚の偏りを知ることで、伸ばしたい感覚に対して、「この遊具を使いましょう。」と提案しています。
イ)個別に評価して、その評価をもとに個別プログラムを提供していくわけですね。
(注2)感覚統合とは、日常生活で感じるさまざまな刺激や感覚情報を処理し、統合する能力のこと。
人は五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)を通じて外界からの刺激を感じ取り、脳内でそれらの情報を統合して、意味を理解しています。感覚統合がスムーズに行われていることで、身の回りの状況把握や自身の行動および他の人とのコミュニケーションなども円滑におこなうことができます。
イ)小集団活動の場合は、どうされていますか?
前村)4、5名程度の小集団活動の目的は主に社会性です。
保育園や幼稚園で、どんな困り感があるのかを聞き取り、個別目標を立てて活動に参加してもらいます。集団ルールや対人関係で言葉を引き出す場面を作ったり、お友達とのやり取りを促しています。
イ)個別支援でお子様に合わせた運動療育。小集団活動では社会性を育むために、同年代のお子様同士で交流をさせているわけですね。利用者さんは集団と個別どちらを利用されていますか?
前村)両方です。併用して利用している方が多いです。
イ)療育のプログラムを考えるのは大変だと思いますが、何から考えられていますか
前村)今までの経験上、重要なことは「その子にとって何が必要なことなのか」を職員が把握することです。それには、まずは適切に評価することです。
「ただ動かす」「とにかく運動する」ではなく、必要な支援を提供する専門性が療育には必要だと思います。
イ)目標を明確にして療育に取り組むわけですね。
前村)基本、子どもの発達は運動がベースになっていきます。社会性においてもです。
感覚には成長のピラミッドがあります。
土台に感覚があり、その上に運動が乗っていきます。その後に言葉や社会性が積み重なって発達していきます。そこを職員教育で伝えて、スタッフの知識を高めていくことが必要だと思っています。
イ)職員研修は定期的に行われていますか?
前村)私は年に2回行っています。あと新入社員には新人研修として「お子さんの発達の見方」などを必ずひとりひとり行っています。あとは外部研修にも参加してもらっています。
事業所ごとに専門職を配置していますので、運動などの成長発達なら理学療法士、言語ならST(言語聴覚士)が研修を行うように社内研修の計画を立てています。
私も社外で研修を受けたら、社内研修という形で職員にフィードバックしています。
イ) 資格を持った方が先頭に立って研修をされているわけですね。
研修される「お子様の発達の見方」とは、例えばどんなことを見るのでしょうか?
前村)他者との関わり方です。成長の第一歩です。
小さなお子様が二項関係から三項関係(注3)に移行していくことは大切なことですから、そこでの遊びの展開の仕方などを伝えています。
見学会や体験会では、お子様の遊ぶ様子から二項関係なのか三項関係なのかを見ています。そして、現状の発達度合いを保護者の方にフィードバックします。
イ) フィードバックで保護者の方とコミュニケーションを取られているわけですね。
前村)職員会議などを通して職員に伝え、その内容を職員が保護者の方へ伝えることで、しっかりコミュニケーションを取っています。
(注3)二項関係は自分と大人(お父さん、お母さん、先生等)、自分と玩具、といったある特定の対象と1対1で関係を結んでいる状態。
三項関係は、大人が「見てごらん、電車よ」と声をかけると、子どもがそちらに目線をやり、振り返って笑うなど、特定のものと特定の人の両方に意識が向いている状態。この三項関係でコミュニケーションを取ることができていることが成長の目安になります。
イ)順調なスタートのようにお見受けしますが、開所時にご苦労などはありましたか?
前村)施設運営に関しては順調で定員も次第に埋まっていきましたが、会社経営という苦労はありました。
新規事業で金融機関との信頼関係がないところからのスタートだったので資金面では苦労しました。
知人に保育園経営者もいますが、会社経営に関することは甘く見ていたと思います。
イ)それをサポートしてくれる人はいましたか?
前村)会社の作り方など経営コンサルタントにサポートしてもらいました。
開所の1年前から鹿児島が主催する起業セミナーに参加したりして準備したつもりでしたが、実際には難しいこともあったのでサポートしてもらいました。
あとは職員募集ですね。立ち上げたばかりで小さい会社だと応募は少なく、職員が集まりづらかったですね。
イ)そこでは、どんな工夫をしましたか?
前村)最初はお金がなくて、有料の求人募集ができなかったので知り合いの紹介ですね。今も働いてもらっています。
イ)4、5ヶ月で定員が埋まったそうですが、どのような募集をされましたか?
前村)開所前は関係機関に多くのチラシを配らせてもらいました。
私が鹿児島の療育センターで作業療法士として非常勤で開所ギリギリまで勤務していたので、ドクターからの紹介も大きかったと思います。
その勢いで次の4月に第2店舗をオープンさせました。
イ)最初の開所から1年後に2店舗目を立ち上げられたのですね。
前村)定員が埋まったころから次の店舗の準備をしました。
次の候補地の調査を入念に行ったことと、短期間で集客ができているのでニーズがあると判断していただき、次の銀行融資は比較的スムーズにおりました。
事業計画に5年で3店舗を展開することにしていたので、計画通りです。
イ)5年で3店舗にするのは何か根拠はあるのでしょうか?
前村)事業の中・長期計画です。5年という節目に「5年で3店舗」の目標を設定しました。
1店舗だけでは収益が上げづらい。職員により良い雇用環境を提供していくには、会社として資金が必要だと実感しました。そのためには多店舗展開は必須の目標です。
おかげさまで我が社は、福利厚生を充実させることができました。
イ)長期的な展開を見据えて開所していくことが大切なのですね。
イ)売上に直結する利用日数を増やす工夫などされているのですか?
前村)集客の基本はチラシです。
施設は一軒家ではなくテナントなので、子どもが遊びたくなるような造りにしました。
施設への「行き渋り」をなくし、子どもに気に入ってもらい、「行きたい」「遊びたい」施設にしました。
どこの施設も、子どもが体験をしてから利用に繋がると思います。
私は体験会のときに「いかに役立つアドバイスができるか」それが大事だと職員に伝えています。
保護者の方の困り感を聞き取りながら、アドバイスなどを伝えられる力がないと、契約には繋がらないですね。ですから体験会はとても重要な位置付けとして捉えています。
イ)体験会のときから保護者の方から信頼されることが重要なんですね。
イ)HGUについてお伺いします。
開所と同時にご利用くださった経緯を教えてください。
前村)どんなシステムが一番いいのか分からない中、インターネットで調べました。
まずは、分かりやすいシステムであることと、低価格で探しました。いろいろ資料請求した中で、HUGはリース契約ではなく、月額で支払えるところが魅力的でした。新規開所で高額なリース契約は非常に難しいです。
説明を受けてHUGが使いやすかったこともありますが、サポートの方には開所から1年間、本当にお世話になりました。
何も分からなかったので、すぐにサポートに電話していました。それをいつも丁寧に対応して教えてもらいました。いつも電話していたのでサポートの方を指名する状態でしたね。
私は今、別の会社の療育研修にも携わっています。
そこでこれから開所される方から「どのシステムを使用していますか?」と質問されることがありますが、すぐに「HUGです。とても使いやすいです。」と答えています。
イ)その研修とは、どんな研修ですか?
前村)子どもの発達に関する研修です。発達の度合いで子どもに必要な課題やニーズを、どう見立てるかなどを外部の社会福祉法人の保育士さんにしています。
併せて新規開所に伴う分からないことは、弊社の施設を見学してもらうなどのサポートもしました。HUGを使うところも、ネットアーツさんの回し者のように画面操作してお見せしました。
イ)実際にご利用くださっている前村様からだと、これから開所する方も安心ですね。本当にありがとうございます。
イ)分かりやすいとは具体的にどこになりますか?
前村)まずはTOP画面です。
すべて項目が出ていること。見える化が素晴らしいですね。
そこをクリックすれば、例えば受給者証の必要な更新が分かります。
売上管理も助かります。管理者は目標稼働率を決めていますので、その値を見ながら施設運営を考えます。個別支援計画書もプリントアウトしなくても見ることができるのもいいですね。
あとはICT部分ですね。HUGは携帯でも見ることができます。
うちには紙の連絡帳はありません。保護者の方は携帯でサービス提供記録を見ています。今のニーズにあったシステムだと思います。
保護者の方が送迎してくれる個別療育は、終わったあとに必ずその日のフィードバックをします。一方で送迎を利用されていたり、小集団活動のとき、活動の様子が気になりますが、サービス提供記録を見ることで、子どもの様子を知ることができます。
保護者の方が携帯で記録を見ていることが分かるので、こちらとしても助かっています。
イ)さいごに今後のビジョンをお聞かせください。
前村)時代のニーズに合わせて、障がい者全体を支援していきたいと思っています。具体的には生活介護や就労支援です。障がいのある子どもから大人まで切れ目ない支援ができる障がい者福祉事業を目指していきたいです。
インクルーシブで社会との関わりを持ち、障がいがあっても社会と関われる場所を総合施設として作りたいですね。その中にはプール施設も作り、パラスポーツを推進していきたいです。
イ)素晴らしいビジョンですね。事業には目標、計画が大切だと教えていただきました。
今回は貴重なお時間とお話をいただき、本当にありがとうございました。
弊社が提供している「HUG」は放課後等デイサービス運営会社が開発したソフトウェアです。
請求業務はもちろん、個別支援計画やサービス提供記録の作成から管理も簡単に行えます。
実際にHUGをご利用いただいている放課後等デイサービス事業者様の感想をご紹介していますので、請求ソフトや管理システムの導入を検討されている方はご参考くださいませ。
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