2026/05/20
お役立ちコラム
みなさんこんにちは!
はぐめいとでは障がい福祉サービスを運営している事業者様に向けて様々な情報を発信しています!
今回は「就労継続支援B型事業所の建築及び設備基準の要件ガイド」について、詳しくご紹介します。
就労継続支援B型事業所を新しく立ち上げる際、あるいは事業所の移転やリニューアルを検討する際に、最も慎重に進めなければならないのが「建築及び設備基準」のクリアです。
これらの基準は、障害福祉サービスとしての指定を受けるための「設備基準」だけでなく、「建築基準法」や「消防法」といった他法令とも深く関わっています。基準を満たしていない物件を契約してしまうと、最悪の場合、指定が降りずに開業できないという大きなトラブルに発展しかねません。
この記事では、就労継続支援B型事業所の開所・運営に必要な設備要件や、建築・消防法上のポイントを分かりやすく網羅的に解説します。スムーズな事業所づくりの参考にしてください。
参考資料:
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準 国が定める指定基準 e-Gov法令検索
障がい福祉サービス事業等 ≪ 指定申請の手引き ≫ 大阪府 令和7年6月改正版
建築基準法制度概要集 国土交通省
小規模建築物を対象とした医療・福祉施設、宿泊施設、集客施設等を所管する関係部局との連携について 国土交通省
就労継続支援 B 型事業の人員及び設備に関する基準等 柏原市福祉指導監査課 令和3年8月
就労継続支援B型は、年齢や体力の面などで一般企業での就労が困難な障害のある方に対し、働く機会や生産活動の場を提供し、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う福祉サービスです。
雇用契約を結ばずに利用者がそれぞれのペースで作業を行うため、扱う作業内容(軽作業、食品加工、PC作業、自主製品の製造など)によって、必要となる作業スペースや設備が大きく異なる点が特徴です。
就労継続支援B型事業所を運営するためには、国や自治体が定める以下の設備を必ず備える必要があります。それぞれの部屋やスペースには明確な役割が求められます。
| 必要な設備・部屋 | 主な要件とポイント |
| 訓練・作業室 |
・利用者が安全かつ円滑に訓練や作業を行える「支障のない広さ」を確保すること。 ・作業内容(例:ミシン、農作業の仕分け、調理など)に応じたスペースが必要です。 ※ 自治体によっては「利用者1人あたり〇㎡以上」と数値基準が設けられている場合があります。 |
| 相談室 |
・利用者がプライバシーを保った状態で面談や相談ができるスペースです。 ・完全に壁で仕切られた個室が望ましいですが、パーテーションやカーテンで区切る形でも認められる場合があります(自治体へ要確認)。 |
| 洗面所・便所 |
・利用者の特性に応じた、使いやすい構造であることが求められます。 ・車いす利用者が想定される場合は、バリアフリー対応のスペースが必要です。 ・衛生面から、手洗い設備とトイレは適切に配置されている必要があります。 |
| 多目的室など |
・休憩室や更衣室、あるいは一時的な静養スペースとして活用できる多目的空間です。 ・国の基準では原則として設置が義務づけられていますが、利用者への支援に支障がない場合は、相談室など他の設備と兼用することが認められる場合があります。 |
| 事務室 |
・管理業務や書類作成を行うためのスペースです。 ・個人情報が含まれる書類を保管するため、鍵付きの書庫やキャビネットを設置する必要があります。 |
設備基準を満たしていても、建物自体が建築基準法に適合していなければ指定を受けることはできません。特に以下の点に注意が必要です。
(1) 建物の「用途」の確認(用途変更)
建物の用途は、建築基準法によって分類されています。就労継続支援B型事業所を開設する場合、その建物が法的に「どのような用途」として認められているかを確認する必要があります。
多くの自治体では、宿泊を伴わない就労継続支援B型は「事務所」や「工場・作業場」として扱われることが多いですが、自治体によっては「福祉施設(児童福祉施設等)」に類する扱いを求められるケースもあります。
元々の建物の用途と異なる目的で使用する場合、床面積(一般的には200㎡超)によっては「用途変更」の確認申請手続きが必要となり、多額の費用や期間がかかることがあるため注意しましょう。
(2) 新耐震基準の適合
原則として、1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた「新耐震基準」を満たしている物件を選ぶ必要があります。
それ以前の旧耐震基準の物件の場合、耐震診断や補強工事の証明を求められるケースがほとんどです。
福祉施設は火災時の避難が重要視されるため、消防法上の基準が厳しく設定されています。
就労継続支援B型は、消防法上「(6)項ハ(利用者を通わせるもの)」という障害者支援施設等の区分に該当することが一般的です。
【必要な消防設備の例】
建物の構造や延床面積、事業所が位置する階数によって異なりますが、主に以下の設備の設置が義務づけられます。
・消火器(原則として設置義務あり)
・自動火災報知設備(建物の規模や階数によって設置義務が発生。雑居ビルの場合はビル全体への連動が必要なケースも)
・誘導灯・誘導標識(避難経路を明示するもの)
・非常用の照明装置
物件を契約する前に、必ず管轄の消防署へ「概要書」や「平面図」を持参し、事前相談(消防法上の適合確認)を行ってください。
物件選びから指定申請までは、以下の手順で計画的に進めることが成功の鍵となります。
● STEP1
作業内容の決定
まずは事業所で行う生産活動(作業)の候補を決めます。食品を扱う場合は、保健所の「飲食店営業許可」や「菓子製造業許可」などが別途必要になるため、シンクの数や手洗い場の設置などの追加要件が発生します。
● STEP2
物件の候補探しと図面の入手
候補物件が見つかったら、必ずレイアウト図面(寸法が分かるもの)を入手します。
● STEP3
自治体の障害福祉課・消防署・建築指導課への事前相談
契約前に必ず図面を持って各窓口へ相談に行きます。ここで手戻りが発生すると違約金や工事費のロスが発生するため、「契約前の相談」が鉄則です。
● STEP4
内装工事・備品調達
相談内容に基づき、必要な工事や鍵付き書庫、相談室のパーテーションなどを設置します。
自治体により設備基準が異なる場合があります。
現在施行されている法令に記載がなくても多くの自治体で、以下の2点について留意事項として設置や確保が求められています。事前協議で必ず確認するようにしましょう。
・日照、採光、換気、適温調整等、利用者の保健衛生に関する事項。
・緊急時、非常災害時の対策として、安全な避難手段、経路を確保(避難経路)。
就労継続支援B型事業所の建築及び設備基準は、単に「部屋があれば良い」というわけではなく、利用者が安全に、そしてプライバシーを守りながら作業や訓練を行える環境かどうかが厳しく審査されます。
障害福祉サービスとしての基準だけでなく、建築基準法・消防法・(作業内容によっては)食品衛生法など、複数の法律をクリアしなければなりません。
これらを一つひとつ確実にクリアしていくためには、専門家や行政の窓口、そして信頼できるパートナーとの連携が不可欠です。
しっかりとした事前準備を行い、利用者様が安心して自分らしく働ける素晴らしい事業所を形にしていきましょう。
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